5種類の正多面体を連結したトロイド
Troids of five different regular polyhedra connected together.


 I examined what kind of polyhedra would be created by using all five types of regular polyhedra to create a regular-faced polyhedron (toroid). Candidates for such a polyhedron are listed below, along with comments. Symbols and Notations for Toroids see here. Click on the image to view a VRML model of that polyhedron.

 5種類の正多面体すべてを使って、整面型の多面体(トロイド)を作成すると、どのような多面体ができるか、以下のとおり検討してみました。

 正多面体だけで面と面を連結できるのは、正三角形を面に持つ正四面体、正八面体、正二十面体のみですので、正六面体、正十二面体を連結するには、間に連結するためのパーツとなる多面体が必要となります。それらは、角数3,4,5の正多角形を含む面を持つ多面体となります。

 そのような多面体として、すぐに思い浮かぶのが、(3,4,5)の半正多面体(斜方二十・十二面体)や、その一部分である正五角台塔などですが、ここでは、もう少しコンパクトに作成できる多面体を対象とします。そのような多面体の候補を、コメントとともに以下に示します。トロイドの表記方法については、こちらを参照ください。画像をクリックするとその多面体のVRMLモデルを表示します。
・J91(Fig.-01, 02)
 J91は、正十二面体と立方体とで空間充填形となります。J91を連結パーツにし、各正多面体を2個ずつ配置すると、正十二面体,正二十面体同士は、稜で接する形で連結できます(図-01)。図-01は、全ての正多面体が、J91に直接連結されているモデルで、図-02は、正三角柱,正六角柱,正三角台塔等を追加して連結にバリエ-ションを持たせたモデルです。
(a) J91(b) 通常表示(c) 透過表示
Fig.-01 2I5 2P4 2S3 2Y3 2D5 (J91)
(a) 2Y3 2I5 2S3 2P3 2P4 2D5(J91)(b) 8Y3 8I5 8S3 4P3 2P4 4D5(J91)(c) 6D5(3J91)3P4(Q3P6)S3 I5 3Y3
Fig.-02 J91を連結パーツとしたトロイドのバリエーション(正三角柱,正六角柱,正三角台塔等で連結)
・J92(Fig.-03)
 J92は、角数3,4,5,6の正多角形を面に持つモデルで、ここでは、正六角形の面を6個の正三角形の平面充填形に置き換えて、3個の正八面体を配置しています。このモデルは、全ての正多面体がJ92に直接連結されています。120°の対称性があり、空間的なバランスが良いモデルです。
(a) J92(b) 通常表示(c) 透過表示
Fig.-03 3S3 3I5 3P4 3Y3 3D5 (J92) (対称性や空間的なバランスが良い)
・G3(Fig.-04, 05)
 G3は、J91やY5(完全正五角錐)とともに、(3,4,5)の半正多面体(斜方二十・十二面体)の構成要素となる多面体です。これを用いると、2枚の正三角形の面に正二十面体が配置できます。今回作成した多面体の中では、唯一、外観が五種類の正多面体のみでできているモデルです(図-04,05(a),(b))。
 120°の対称性があります。図-05は、配置する正多面体の個数を同数(各3個)とした場合のモデルです。
(a) G3(b) 通常表示(c) 透過表示
Fig.-04 Y3 2S3 3P4 3I5 3D5 (G3) (外観はすべて正多面体となっている)
(a) 3Y3 3S3 3P4 3I5 3D5(G3)(b) 8S3 3P4 3(Y3 I5) 3D5 (G3)(c) 3(Y3 S3 I5) 3P4 3D5 (G3)
Fig.-05 G3を連結パーツとしたトロイドのバリエーション(正多面体の個数を同数とした場合)
・m*(Fig.-06)
 m* は、正三角形9枚,正方形2枚,正五角形1枚から構成されます。底面の正五角形と上面の正方形が、平行に近い角度(174.8°)となっています。作成されたモデルは、全ての正多面体がm*に直接連結されています。今回作成した多面体の中では、最もコンパクトなモデルといえます。
(a) m* (=mY5)(b) 通常表示(c) 透過表示
Fig.-06  P4 Y3 S3 D5 I5 (m*) (最もコンパクトな構成)
・J91'(Fig.-07)
 J91'は、J91を二分割した多面体です。切断面は台形を2個合わせたような形状の六角形となりますが、これを正五角形が一部重なっている2枚の面と考え、整面型のモデルとしています。作成した多面体は、全ての正多面体が、J91'に直接連結されているモデルです。
・J53(Fig.-08)
 J53は、正五角柱の側面に完全正四角錐2個を連結したものです。
・J62(Fig.-09)
 J62は、正二十面体の一部分の多面体で、正三角形と正五角形の面から構成されます。正方形の面がないので、正三角柱を用いて立方体を連結しています。
(a) J91' (J91を二分割)(a) J53 (=2Y4 (P5))(a) J62
(b) 通常表示(b) 通常表示(b) 通常表示
Fig.-07  P4 S3 I5 D5 Y3 (J91')Fig.-08 2I5 2S3 2D5 2Y3 2P4 (J53)Fig.-09 2P4 2P3 2S3 2Y3 2D5 2I5 (J62)(正三角柱で立方体を連結)
・W'(Fig.-10)
 W'も正六角形の面がありますが、J92と同様に、正三角形の平面充填形で置き換えています。作成した多面体は、全ての正多面体がW'に直接連結されたモデルです。120°の対称性があり、空間的なバランスが良いモデルです。
(a) W'(b) 通常表示(c) 透過表示(別視点180°回転)
Fig.-10 3Y3 3I5 3D5 3P4 3S3 (W') (対称性や空間的なバランスが良い)
・A5''-2mとその変形(Fig.-11, 12, 13)
 正五角形を底面に、側面を正三角形と正方形で台塔を作成しようとすると、正三角形2枚が飛び出したような形状となり、上面は細長い菱形となります。この多面体を菱形の面同士が接するように2個連結したものが、A5''-2mです。連結の仕方でいくつかのバリエーションがあります。空間的に干渉してしまうため、全ての正多面体(2個ずつ)を、A5''-2m に直接連結することはできません。
(a) A5''-2m(a) A5''-2mの変形(a) A5''-2mの変形
(b) 通常表示(b) 通常表示(b) 通常表示
Fig.-11 2Y3 2S3 2P4 2D5 2I5 (A5''-2m)Fig.-12 2Y3 2S3 2P4 2D5 2I5 (A5''-2mの変形)Fig.-13 2Y3 2S3 2P4 2D5 2I5 (A5''-2mの変形)
・p''(Fig.-14, 15)
 p''は、T5/12Q5S5(D5)の切断面として作成されます(T5は切頂十二面体)。環状なので、貫通孔数1の多面体となります(図-14)。72°の対称性があります。正二十面体は、正三角形3枚の部分に配置できて、隣り合う5個の正二十面体が、稜で接して環状に配置されます。同様に、正十二面体も、隣り合う5個が、稜で接した状態で環状に配置されます。正八面体と正四面体は、隣り合う正十二面体の間にできる正三角形の空間に配置しています。
 正二十面体が接している貫通孔部分は正五角形、正十二面体と正四面体が接している貫通孔部分は正十角形となるので、これらの面で蓋をすると孔数0の多面体となります(図-15)。図-15は、構造物にすると面白いかもしれません。
(a) p''(c) 通常表示(e) 通常表示(別視点)
(b) p'' 透過表示(d) 透過表示(f) 通常表示(別視点)
Fig.-14 5I5 5P4 5D5 5S3 5Y3 (p'') (貫通孔数1)
(a) 通常表示(b) 透過表示(c) 通常表示(別視点)
Fig.-15 5I5 5P4 5D5 5S3 5Y3 (p'') +正五角形+正十角形(貫通孔数0)
・n43(Fig.-16),n42(Fig.-17)
 連結パーツとして、異相双五角丸塔柱(n43),同相双五角丸塔柱(n42)を用いたトロイドです。作成した多面体は、全ての正多面体が連結パーツに直接連結されたモデルで、正多面体が5個ずつ配置されます。正十二面体と正二十面体は、隣り合う5個が稜で接して環状に配置されます。72°の対称性があり、空間的なバランスが良いモデルです。
(a) n43(R5 P10 gR5)(b) 通常表示(c) 透過表示
Fig.-16 5I5 5D5 5S3 5P4 5Y3(R5 P10 gR5)
(a) n42(R5 P10 R5)(b) 通常表示(c) 透過表示
Fig.-17 5I5 5D5 5S3 5P4 5Y3(R5 P10 R5)
・B5(Fig.-18,19)
 連結パーツとして、二十・十二面体(B5)を用いたトロイドです。二十・十二面体の上半球の正三角形に正八面体と正四面体を5個ずつ連結し、下半球の正五角形には正十二面体を5個連結します。隣り合う5個の正十二面体が、稜で接して環状に配置されます。正二十面体は、隣り合う正十二面体の間に配置します。これだけだと、正六面体が配置できないので、正十二面体に正五角柱を連結し、正六面体を、その間に配置したもの(Figー18)とその側面に連結したもの(Figー19)を作成しました。72°の対称性があり、空間的なバランスが良いモデルです。
(a) B5(b) 通常表示(c) 透過表示
Fig.-18 5S3 5I5 5Y3(B5) 5(D5P5) 5P4
(a) B5(b) 通常表示(c) 透過表示
Fig.-19 5S3 5I5 5Y3 (B5) 5(D5P5P4)